#1「体力をつけたい」って何ですか?

トレーニング指導をしている中で「体力をつけたいです」というリクエストをいただくことは多いです。

では、果たして「体力」とは何のことを指しているのでしょうか?

「体力」という言葉が使われる場面は?

まず、世間一般的に「体力」という言葉を使うのは、長時間身体活動しても疲れにくい能力、RPGで言うところのヒットポイント(HP)的な意味合いを指す場合が多いです。

例えば、体育の持久走で誰よりも長い距離を走っている人のことを指して「あいつの体力はすごい」と言ったり、サッカーの試合で90分間走り続けることができる選手を「体力オバケ」なんて言ったりした経験はあるのではないでしょうか。

他に使われる例は、学校で行われる「体力テスト」。これは上記のような身体の持久力だけでなく、
立ち幅跳びやボール投げなどで筋パワーや、長座体前屈で柔軟性など様々な身体の機能的能力が満遍なく測定されます。

更に、社会人として日々の仕事をこなしていく中で、以前よりも疲れやすくなったと感じたときに
「体力落ちたなー、昔はこんなの余裕だったのに。」なんて言ったり、逆に平日は仕事をみっちり取り組み、休日は趣味に勉強に恋愛にと、公私ともに活動的な人のことを「あいつ体力あるよなー。」と
話すこともあるはずです。この場合、走ったり、スポーツするなど何か具体的な身体活動をしているわけではありません。しかし、「疲れやすい」や「活動的である」といった現象の尺度として「体力」という言葉が使われます。

「体力」という言葉は、様々な場面で様々な意味を含有して使われていることに間違いなさそうです。

体力の定義

では、体力の定義とは何でしょうか。

猪飼(1969)は、体力を以下のように分類しています。


大きく「身体」と「精神」の2つの要素に分けられ、そこから更に枝分かれして細かく分類されます。ひとえに「体力」といってもここまで守備範囲が広いのです。

つまり、持久力がある人はもちろん、筋力が高い人、ストレス耐性が高い人、免疫力が高い人、意欲が高く意志が強い人も「体力がある」と定義することができるのです。

「体力をつけたい」というリクエスト

では、クライアントから「体力をつけたい」といった」リクエストがあった場合、どのようなトレーニングプログラムを作成・実施すべきでしょうか。

これは、まずアスリートか一般のクライアントか、という前提によって変わると考えます。

アスリートであれば、トレーニングを実施する目的は競技力の向上であり、その前提のもとの「体力をつけたい」。競技者と話をする中で、また動きの観察の中で、不足している身体的機能(筋力や持久力、柔軟性など)にアプローチしていくことが大切であると考えます。

次に、一般のクライアントから「体力をつけたい」とリクエストがあった場合。
この場合が難しく、また、非常に重要であると考えます。

「体力をつけたい」と思った動機もタイミングも十人十色のはずです。

日常生活を過ごす上でのヒットポイントを高めたいのか、身体機能を向上させたいのか、それともトレーニングという辛い手段を用いてストレスに対する耐性を向上させたいのか、人によって異なりますし、どれか1つだけということもほぼ無いと感じてます。

ただ、トレーナーが一般のクライアントのプログラムを組んでいく上で大切なのは、表出した動機の
バックグラウンドまで深堀りして、プログラムに取り入れようとすること、つまりコミュニケーションを取る中で、「体力をつけたい」というぼんやりとした目標の輪郭をはっきりさせていく共同作業が大切だと感じています。

まとめ

パーソナルトレーナーの指導を受ける意義として、もちろんトレーニング指導もあると思いますが、それだけでなく、目標をはっきりさせることと達成までの効率の良い道のりを一緒に考えてもらえるというのも大いにありだと考えます。

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